一人前の自転車乗りなら


面白い記事を見かけたので、賛同と応援の意味を込めて、自分の考えも書いておく。

自転車は歩道の中では最強であり、車道の中では最弱という、道路交通の中ではちょっと変わった特性を持ってる。

特にロード、MTBと言ったスポーツサイクルは、他の自転車に比べても速度域が全く異なるので、従来感覚のまま好きに走り回ることは、自分にも、他人にも危険。

そうした自転車乗りは、どんなにスキルが高くて、フィジカル鍛えてようとも半人前以下だし、子供以下。

一人前の自転車乗りになるためには、状況に応じてモードを切り替えながら乗ることが必須。
必要なモードを3つくらいあげておく。

歩道は「最徐行モード」

基本的に、歩道は自転車の走る場所ではなく、緊急避難的に歩道を走る場合は最徐行。

歩道では、自転車が最も速度が出る加害交通者。

ほんのちょっとした油断やミスで歩行者に接触する。
数千万円の賠償を命じられるような事故が、簡単に起こりうるし、実際に起きている。

警察が想定する自転車の歩道での速度は5km/h程度という話も聞くが、歩行者の安全を考えた場合、それは間違いではない。
どんなに気をつけようが、歩行者との接触事故というのは確率的に発生するので、その時に、歩行者へのダメージを最小限にするためには、この速度は妥当と言える。

歩行者をかろうじて、ゆっくり追い抜ける程度…これ以上の速度は、歩道で出すものでは無い。

歩道の隅っこを通させてもらってる…という感覚を忘れちゃいけない。

交通量の多い車道は「楽しまないモード」

「交通量の多い」の定義がやや曖昧だが、主に想定されるのは都市内での移動手段として利用する場合、もしくは幹線道路を高速巡航で抜けるような場合。

この時に必要なことは「楽しまない」コト。

車道においては、自転車は最弱者。
事故が起こった場合に、怪我をしたり、死亡したりするのは自転車側。

ほんのちょっとした車両との接触が大怪我になる。

そうした場合に、例えどんなに自動車側に非があったとしても、病院に搬送されるのは自転車乗りなので、こんな場所で「楽しもう」とするコト自体が間違っている。

常に周囲の車両の動きに気を配り、路面の状況を把握し、次の瞬間の交通状況の予測と危険回避に全能力を集中するべき。
可能であれば、手信号等で車両側にシグナルを送るコトも必要。
昼間からライト、リアマーカーを点灯させる意味も大きい。

「楽しんでる」余裕なんか僅かもない。

はっきり言えば、交通量の多い車道は、自転車乗りとっては戦場。
戦火をくぐり抜けて無事に帰ることを最優先しよう。

なお、交通ルールを無視して走り回る輩は論外。
将来的には、罰則の強化や、効率的な取り締まり体制の構築もやむなし。

「ライド満喫モード」

交通量が少なく、周囲の見通しも良く、飛び出してくる歩行者(周囲の住民)の数も少ない田舎道、山道。
もちろん安全確保への備えを怠るわけにはいかないが、都市や幹線道路に比べればその比重はずっと軽い。

自転車に乗ることを満喫できるモード。
自転車乗りにとっては、このモードが一番楽しいし、このためにスポーツサイクルに乗ってると言っていい。

ただし、これを満喫できる交通環境というのはなかなか無いのが正直なところ。

自分も、横浜、仙台と大都市に自転車持ち込んで住んでた時代があるが、正直、あの規模の大都市になると、スポーツサイクルをこのモードで楽しめる場所は皆無と言っていい。
人も車も多すぎ。

10万人程度の地方都市であっても、日中の交通量は決して少なくないし、自転車乗りにとって安全性の高い道路設計になってるとは言えない。

河川敷のサイクリングロードは実際は歩道に等しく(というか自歩道そのもの)、歩行者との接触リスクを考えると、満足な速度は出せない。

結局は、郊外の交通量の少ないルートに出るまでは「楽しまないモード」で我慢して移動するしかない。
「楽しみ」で乗ってる自転車で、「楽しまないモード」を強要されるのは辛い…がそこを我慢するのが、一人前の自転車乗り。

一人前の自転車乗り

ペダリング・スキルの向上や、フィジカルの鍛錬というのは、自転車乗りにとって大事なコト。

ただし、それ以上に大切なのは、事故なく、怪我なく、帰ってくるコト。
自分も。
他人も。

このためのスキルを身に着け、安全に対するモードの切り替えが出来るというのも自転車乗りにとっては重要事項。

それが出来なければ、どんなに自転車を速く乗りこなせてアスリートとしては一流でも、自転車乗りとしては半人前だ。

自転車乗りからも、歩行者からも、ドライバーからも尊敬される自転車乗りにならないと。

自分が楽しんでるスポーツが、スタジアムや体育館といった閉鎖空間でのスポーツとは違ったロードスポーツであるというコトをゆめゆめ忘れないように。

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